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        それは夜には似合わない明らかに不審な光景で、保護の意味も含めて警察に届けるのが一番なのだが、ヤスは門を開けて声を掛ける選択をした。     「…どうかした?」     傘をそっと傾けて雨を遮ってやり話掛けると、見上げた少年は目を見開き、警戒しているのか睨み付けてきた。   そして背中の少年を守るように背負う腕の力を強め一歩ずつ後ずさる。   少年の顔は酷くやつれており、衣服は泥にまみれ、今にも倒れそうなくらいのバランスを保っていた。   無意識ながらにヤスは少年の腕を掴み家へと引き摺っていた。     「…っ!?何すんねん!」 「黙って。ご飯食べさす」 「いらん!離せ!」     少年は抵抗をしてくるもその力は弱くて、小柄なヤスでも家に連れ込む事に簡単に成功した。   騒がしさに不思議に思ったのか風呂場からひょこっと顔を覗かせてきたマル。     「ショウちゃん…?」 「マル、二人分のタオルと温かい食い物!」 「は、はい!」     困惑しつつもマルは慌ててタオルをヤスに手渡し厨房に向かう。   黒と赤のタオルを手にして二人を探せば部屋の隅で縮こまっているのが見つかる。        
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