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        未だに喧嘩まがいにじゃれあう二人に深い溜め息を漏らし、スバルとヨコは一口スープをすする。   決してマルには言ったことはないが、スバルもヨコもこの暖かみのある味がお気に入りであった。 そして二人は顔を見合せ、お揃いの皺の寄るカーゴパンツから乱暴に何枚かの札を取り出してテーブルに置く。     「今月の生活費、これで足りるやろ」 「だから、いらんって言うとるやんー」     マルの困ったような笑みが向けられる。   毎月生活費としてお金を出す度にいらないと言われるのだが、それはプライドが許さないのか無理矢理に押し付ける。   渋々、と言った様子で二人が受けとるのが毎月の見慣れた光景。   用は済んだと言うような表情だがちゃっかりとスープを飲み干したスバルと、食欲が無いのか残したヨコはすっくと立ち上がる。   お金を見つめていたヤスのくりっと大きな目が疑問に揺れ、少し厚みのある唇が開く。     「なぁ、二人はなんの仕事しとるん?」     二人は居候生活の中でたまにだが何も言わずに朝から晩まで出掛け、毎月多額のお金を入れてくるのだが、何をしているのかヤスにはどうしても疑問だったのだ。     「…なんでもえぇやろ」 「ちょ、二人共!」     硬直するスバルの手をぐいっと引いてから機嫌の悪そうに呟いたヨコは二階へと続く階段を昇る。   ヤスの咎めるような声が響くもヨコは完全に無視をし、二階から数秒してから扉が閉まる音がした。   溜め息を吐き出すヤスの隣でマルは二人のカップを手に取る。   何処か重い空気を崩すようにマルはヤスの肩にぽん、と手を置く。     「いつか話してくれるまで、待ちましょ」 「…せやね」     ヤスはヨコの飲み残しを一口啜りつつ、昔の二人との出会いを頭に蘇らせた。        
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