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そしてあれから、四年後……。
少女は少し大人になり、再び森と丘のあの場所へ向かいました。
いつも笛を吹いていた場所に、霞龍はいました。
なんだか、様子が変だ……。
姿を消さないのです。
もう一つ異変に気付きました。
笛の音に合わせ、愉しく振っていた尻尾がありません……。
印象に残る、綺麗な透明の角もありませんでした……
ズルズル……ズル……
まるで、大怪我をしたかのように霞龍は少し進んで、バタンッ……と寝てしまいました。
ああ……あ……
恐る恐る少女は、近づくと
いつも自分が笛を吹いていた場所に
食いちぎったような尻尾と……
無理矢理折った角と……
少女のお気に入りだった、紫のオカリナが置いてありました……。
それは、霞龍が少女にできる精一杯のお詫びでした……。
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