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―――ここは荒くれ者や犯罪者が多く住む、無法地帯ヴァリ。
そこには神妙な顔で黒髪紅眼の少女リーナを見詰める茶髪の少年イリア…
そして自身の右腕を不思議そうに眺める金髪蒼眼の少年レイフォードの姿があった。
しかし、ふと視線を右手からリーナへと移す。
「なぁ、リーナ…お前ってもしかして凄い医療魔術の使い手?」
「…ん、ひみつ……」
「へ?なんだよそれ?……ま、どちらにしろ助かったよ。ありがとな!」
「……ん……」
リーナの答えにレイは一瞬
怪訝な表情になるが、すぐに笑顔に戻り、礼を言う。
その言葉に、リーナも小さく頷いた。
そして3人はゆっくり歩き出すが、その時一つの走る様な足音がレイ達に近付いていく。
「ちょっと、待って!」
後ろから響く女性の声にレイ達は振り返った。
そこには、先程レイと腕相撲をして怪我を負わせた紫の髪を揺らす女性がこちらに手を振っている。
そして声の主であるその女性が追いつき、立ち止まって3人を見渡した。
「…少し、お時間頂けないかしら?」
突然の言葉に3人は首を傾げて互いの顔を見回す。
そしてレイが2人に視線で確認を取って、再び女性の方を向いた。
「えっと…大丈夫だけど…」
「ありがとう…それなら怪我をさせてしまったお詫びも兼ねて、食事でもいかが?」
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