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「えっと…それで、何か御用でしょうか?」
怪訝そうなレイの声が騒がしい店内に微かに響く。
レイ達3人は紫の髪を撫でながらレイ達を見詰める女性の対面の席に座っていた。
店内の様子としては、流石無法者の町ヴァリというだけあってちらちらと揉めている男達の姿も映る。
「…ま、食事しながら話すから!ほら、好きなの頼んでいいのよ?」
「……は、はぁ……。」
ニコニコ顔で、女性はレイ達にメニュー表を渡す。
おずおずとレイはそれを受け取り、3人はメニューを見た。
そしてそれぞれが選び終え、注文をしてメニュー表をテーブルに置くと、女性が笑顔のまま口を開く。
「まずは、自己紹介ね…私はメリアリア・ゼリシウスよ。よろしくね?」
それに続く様に3人はそれぞれ名乗り、メリアリアに小さく頭を下げる。
するとメリアリアはすっと手を伸ばし、レイ達に向けた。
それぞれが机の向かいに座るメリアリアと握手を済ませる。
その時、店員らしい男がテーブルに水の入ったコップを置き、レイの顔を見る。
「おう、やるねぇニィちゃん!女連れ…それも3人たぁすげぇなぁ?」
爽やかな笑顔を向けるその店員にレイはイリアを見て苦笑いした。
そのレイの視界に映るイリアは、ウェーヴがかった茶髪を流し、未だに女性用の服に身を包んでいた。
そして、イリアは俯いてわなわなと震えている。
実は領主の城に男物の服は置きっぱなしのまま脱出した為、未だに女装のまま…
…どう見ても女性である。
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