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何故かメリアリアまで気を遣い、奥の厨房からカウンターに置かれた料理を指差す。
そしてレイ達もその言葉に目を向けると、再びあの店員が料理を取りに行っている。
イリアの視界に再び店員が入った事で、黒いオーラがイリアから噴き出した。
(なんてタイミング悪いんだあの店員!…あぁもう!!)
しかし、人当たりのいいあの爽やかスマイルを思い出すと、どうも責めるに責められない。
レイは困ったように頭を掻いたその瞬間…
―――ドクン…と自身の体が脈を打ち、妙な不快感が襲い来る。
表情には出さない様に周りに気を配りつつ、おもむろに立ち上がった。
そしてテーブルに座る3人を見渡す。
「あ、あのさ…俺トイレ!」
言葉と共に逃げる様にトイレに駆け込む。
トイレに向かう背後から店員の声とイリアの殺気を感じたが、今はそれどころではなかった。
そして洗面台の鏡の前に立ち、静かに右手を掲げる。
「…来い、魔剣。」
言葉を放った瞬間、レイの頭上に光が溢れ、その光がレイの手に集まり出す。
そして光は収束して形作られていき、光が収まるとその手には魔剣が握られていた。
〔…どうした?〕
魔剣から頭に直接響くこの声…ヴォルフの質問に小さく頷いてから、周りに人が来ないことを確認する。
そしてレイはポツリと、小さく話し出した。
「なんだか…変な違和感に襲われた。やっぱり、対価かな?」
〔そうか…どんな違和感だったんだ…?〕
「なんだか、自分が自分じゃない様な……そんな感じ。」
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