17/35
前へ
/153ページ
次へ
女性の表情からは何も読み取れない。 恐らく、我が子に起きた突然の事態に呆然としているのだろう。 長い沈黙が続く。 いたたまれない気持ちになり、自分に掛けられた白いシーツの上で視線を泳がせる以外、何も出来ないし口を開くことも出来なかった。 どのくらいそうしていただろうか。 不意に女性が口を開いた。 「…ちょっと…待ってて…」 そう言い残し、丸椅子から立ち上がると部屋から出て行ってしまった。 再び一人きりになってしまったオレは、何か自分のことを思い出せるような手掛かりはないかと、キョロキョロと回りを見渡してみた。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加