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それからしばらくは、四つ葉のクローバーを探す彼女を眺めて過ごしていた
たまにそれらしき物を見つけて顔を輝かせたり、それが実は見間違いでただの三ツ葉のクローバーだったりして落胆したりと、彼女は長時間眺めていても飽きないくらいに感情豊かだった
ずっと眺めていてもよかったのだけれども、そろそろ戻らないと真美子さんに心配をかけてしまうかも知れないので、病院に戻ることにした
「それじゃ、僕は帰るよ」
そう別れの言葉を告げて、堤防を後にしようと立ち上がった時、彼女に唐突に呼び止められた
「待ってください」
振り返るとそこには、若干だが、頬を紅く染めた彼女が立っていた。その手にはさっきまで探していた、四つ葉のクローバーが二つ握られていた
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