4人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、それでね…佐田君。さっきの事なんだけど」
「さっき?」
「佐田君が起きた時、いきなり疑っちゃったりしてごめんなさい!」
驚いた
あまりに律義過ぎるというか、丁寧過ぎるというか。そんなことに罪悪感を持っていたのか、この娘は。
「それで、その…お詫びというか…その…。このクローバーを一つどうぞ!」
しかも、お詫びって…。どれだけ姫川さんは律義なんだ
が、しかし
いくら僕が驚愕していたとしても、無言で立ち尽くしていると、姫川さんも僕が怒っていると思うかもしれない
だから僕は姫川さんが安心できるように笑顔になりながら、腕をピンと僕に向けている彼女にこう言った
「別にそんなこと気にしてないよ」
そして僕はその四つ葉のクローバーを受け取る
すると姫川さんは安堵の息をこぼしながら、「良かった」と呟いた
「それじゃ、僕は今度こそ帰るよ。じゃあね、姫川さん」
僕が笑顔でそう言うと、「はい、さようなら」と姫川さんも返してくれた
「また、後で」
最後に何か聞こえたような気がしたが、それは風に流されて、よく聞こえなかった
.
最初のコメントを投稿しよう!