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教室に戻ると、クラスメートの、仁科 博明(にしな ひろあき)が近付いてきました。
博明は、がり勉ですがユーモアがあり、少し垂れ目の憎めない顔をした男子です。
「佐藤、お前だろ?
最後の問題を解いたやつって」
博明は、たまに私に数学を聞きにきます。
一年前に隣に座っていたとき、数学の満点の答案用紙を見られて以来、口止め料として。
「さぁね。
そんなの誰だっていいじゃん」
「いいから解き方を教えろよ。
鈴木の教え方じゃ分かんねーよ」
「じゃあ昼休みに図書室に来て。
誰にも言わないでよ」
博明は頷きました。
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