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その日の夜、内海先生から家に電話がかかってきました。
「佐藤さん、今度の模試のことなんだけど。
自分の実力を知りたくないかしら?」
いきなりそう言われて戸惑いました。
全国模試では、上位になると本名と学校名が名簿に登載されてしまいます。
私はいつも半分しか答案用紙に解答を書かないようにしていました。
「でも……」
「あのね、学校名は無理だけど、佐藤さんは偽名で模試を受けてもいいって許可がおりたのよ」
「え?
本当ですか?」
「そうなのよ。
だから手抜きする必要無いわよ。
全国で何位になれるか気になるでしょ?
私も佐藤さんの実力をみてみたいの」
「はい。
ありがとうございます」
私は内海先生にお礼を言って、電話を切りました。
内海先生は、特別扱いしないと言いながらも私のことを気にかけてくれています。
私は夏休み前の模試が楽しみになりました。
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