189人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーそれはあまりにも突然のことだった。
「はぁ!?男装!?」
今年一番の大声を出したのかもしれない。
テーブルの上に置かれたカップの中のコーヒーが僅かな波を作った。
「ちょ、ちょっと、声が大きいわよ。周りの人が見てるじゃない」
目の前で困った表情をする真衣の言う通り、このお店で今この瞬間、一番目立っているのは私たちだった。
ひそひそとした囁き声が聞こえてくる。
「そんなこと急に言われたら、誰だって大きな声出したくなるよ」
少し反省の様子を見せながらも、それでいて相手を睨みつける。
真衣の眉がピクリと動いたのが分かった。
最初のコメントを投稿しよう!