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「分からない。もしかしたら、別れるかもしれない。だけど、出来ることならそんなことしたくない。私は……ずっと要君のそばに居たいから」
そう言った真衣の声は相変わらず震えていて。
でも、言葉は弱々しくても真実を知る為に覚悟を決めた目をしていた。
この時決心した。
ずっと友達だった真衣にこんな悲しい顔をさせる理由を突き止めてやろうと。
もし、要君が他の女と付き合っていたら、もう二度と真衣には近付かせないと。
私は立ち上がって身を乗り出し、真衣の手を握った。
小さな可愛い手が震えている。
「分かったよ、真衣。男装して本当の理由を突き止めてくる。それで真衣の苦しみを全部取り除いてあげる」
一瞬驚いたように目を丸くした真衣だったが、すぐに笑った。微かに瞳が潤んでいたように見えたけど、敢えて気付かないフリをした。
「ありがとう。ほんとにありがとう」
そう言った時には目の潤みは消えていた。
私は小さく「うん」と返事をし、椅子に腰掛けてから話を続けた。
「だけど、どうして男装なの?」
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