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「そうよ。来夢には言ってなかったんだけど、要君は男子寮に住んでるの。だから、要君を観察するには、同じ寮で生活しなくちゃ」
確かに、真衣の言うことは一理ある。だけど……。
「でも、毎日同じ寮に居たら、いつかはばれちゃうよ。それに、私、24時間男を演じられる自信ないし……」
「大丈夫よ。真衣は運動神経抜群で、元々男っぽいところあるから、普段通り生活してれば分からないわよ。それに、顔だって、男子みたいにかっこいいし」
それは褒め言葉として、受け取って良いのだろうか。
私はもう一度、紙の文面に視線を注ぐ。
「……やっぱり……不安だよね」
気がついて顔を上げると、真衣が私よりも不安げな顔をしていた。
「無理にとは言わないかー」
「大丈夫!私、やるよ!」
私は勢い良く立ち上がる。その拍子に、今度はコーヒーが少しだけ零れた。
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