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「白蓮、今日国立公園居たでしょ?」
オレの為にケーキとご馳走を作る白蓮に、オレは華蓮を抱きながら聞いた。
「なんで知ってるの?」
「秘密だよ~。」
「………貴方まさか内緒で学校さぼってるの?何かつらいことでもあるの?授業についていけない?友達はいるでしょ?………まさか苛められてるの?!」
大げさに悲しむ白蓮に、オレは慌てて真実を証す。
「ち、違うよ!マルクルが遅刻して、学校来る途中に見たんだって!」
オレがそう言うと、白蓮は少し意味深に笑った。
「………わかってるわよ。貴方はそんなことしないし、頭も悪くないし、愛される子よ。」
…………適わない。
白蓮はオレから簡単に真実を引き出す。
でも、オレの葛藤は知られちゃいけない。
だから、オレは当分“無邪気な紅葉”を演じなきゃいけない。
もう、昔ほど無邪気じゃないけど。
……演じていることにも気づかれてるのかな。
まあ、それでもしばらくは“無邪気な紅葉”だ。
「ただいま。」
「朔。おかえりなさい。」
強力な恋敵が一番近くにいるし。
白蓮が失敗したケーキを隠したのは内緒にしてあげるよ。
やっぱり白蓮は可愛い。
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