紅葉の憂鬱 1

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「白蓮、今日国立公園居たでしょ?」 オレの為にケーキとご馳走を作る白蓮に、オレは華蓮を抱きながら聞いた。 「なんで知ってるの?」 「秘密だよ~。」 「………貴方まさか内緒で学校さぼってるの?何かつらいことでもあるの?授業についていけない?友達はいるでしょ?………まさか苛められてるの?!」 大げさに悲しむ白蓮に、オレは慌てて真実を証す。 「ち、違うよ!マルクルが遅刻して、学校来る途中に見たんだって!」 オレがそう言うと、白蓮は少し意味深に笑った。 「………わかってるわよ。貴方はそんなことしないし、頭も悪くないし、愛される子よ。」 …………適わない。 白蓮はオレから簡単に真実を引き出す。 でも、オレの葛藤は知られちゃいけない。 だから、オレは当分“無邪気な紅葉”を演じなきゃいけない。 もう、昔ほど無邪気じゃないけど。 ……演じていることにも気づかれてるのかな。 まあ、それでもしばらくは“無邪気な紅葉”だ。 「ただいま。」 「朔。おかえりなさい。」 強力な恋敵が一番近くにいるし。 白蓮が失敗したケーキを隠したのは内緒にしてあげるよ。 やっぱり白蓮は可愛い。
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