白蓮の哀感

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娘は三ヶ月になる。 日々成長する娘を見ると、時々あの人を思い出す。 我儘で自分勝手で残酷で、いつも何もかも一人で決めて、誰にも本心を明かさない。 不器用に優しくて、とても淋しがりな人。 いつも残酷な笑みばかりのあの人が、この子を見たらどんなに優しい笑顔をしたのだろうと……。 あの人も淋しかっただけ。 きっと私と同じ。 幸せな家庭を密かに望んでいただけ。 あの人はあの国の“悪人”。
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