織武朔の劣等感

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俺の名は織武朔(オリブ サク)。 リズオァール国の小さな町、ガリオルの町に大きすぎず小さすぎない家を持っている。 「朔、おはよう。」 朝から美しい妻が俺を起こしてくれる。 この美しい女性は、俺が昔仕えていた主人であり、今は俺の妻だ。 婚姻の誓いを交わしてから約半年、いわゆる新婚だ。 「朔、はい。お弁当!」 「ありがとうございます。白蓮様。」 「こら!敬語になってるわよ?」 笑いながら妻が言う。 俺は今だに時々昔のくせがでてしまう。 昔居た国では実現しえなかったであろう現実に幸せを感じる。 「はい。紅葉(クレハ)もお弁当!」 そんな幸せな新婚生活だか、この家には生まれて一ヶ月になる娘と、十三歳の少年が居る。 「いつもありがとな!白蓮。」 少年が俺の妻の頬にキスをした。 「もぉ~紅葉~。」 「じゃあ、行ってきまーす!」 この元気の良い少年と、それぞれ会社と学校の途中まで一緒に行くのが俺の日課。
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