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「ねぇ、朔。今度隣町で闘技大会があるそうなんだけれど、出てみない?身体動かしたいでしょう?」
「闘技大会…。」
「貴方ならきっと優勝間違い無しよ!」
夕飯の席で妻が楽しそうに提案した。
頭の良い白蓮様のことだ。
きっと俺の劣等感を無くすために考えてくださったのだろう。
「考えとくよ。」
「華蓮(カレン)も格好いいパパの姿見たいって!」
兄上と妻の間の子、華蓮が無邪気に笑う。
「ご褒美は華蓮とママからのキスだよ~って言ってるわよ。」
「出る。」
俺は即答した。
昔から武術と勉学に励み、頭は悪くないと自負している自分がこんなに単純になるとは思っていなかった。
「…………朔が出るならオレも出る。」
今まで黙って食事をしていた紅葉が、挑戦的な目で俺を見た。
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