初めての夜

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ホテルの部屋に入ると 思い切り抱きしめあった。 「逢いたかった」 それ以外の言葉が みつからない。 その言葉の中に 想いの全てを込めて 長い長い抱擁.. 懐かしい温もり 懐かしい匂い どれくらい そうしていたのかわからないけど 「あっ そうだ」 と言って彼が腕を解いた 「そこに座って待ってて」 私をソファーに座らせると バックから何か取出して 私の横に座った。 「手 出して」 両手の掌を彼に向ける。 彼は左手を取り 手の甲に反転させ 薬指に指輪を入れた。 今日は結婚指輪は 外してきた。 今日は身も心も 彼のものだから.. ちょっと ゆるい指輪に 苦笑いの彼。 「このぐらいだと思ったんだけどなぁ」 「サイズ直そう」 「ありがとう  これがいいわ このままがいいわ 大丈夫 今から太るから」 そんな冗談を言いながら キスを交わした。 「喉 乾いたね 何か飲む?」 「お腹は空いてない?」 それから2人は 色々な話をした。 生まれた街 幼少の記憶 初恋 学生時代.. 出逢う前の時間を 少しでも埋めるように 色んな事を聞き合った。 時間の経つのは早すぎて 帰宅時間が迫っている
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