迷い

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迷い

あれから数日が経った。 あの日は幸い 旦那の帰宅も遅く 考えた「言い訳」も 必要ないまま 今も平穏な日々を過ごしている。 夢のような時間の中で 残ったのは 彼の温もりと匂い。 そして指輪。 旦那には 「雑貨屋で安かったから 買っちゃった」と言い 堂々とつけている。 「明日の休みなんだけど 久しぶりに何処か出掛けないか?」 急に旦那が言った。 「何処かって? 行きたいとこあるの?」 口数は多い方ではなく 穏やかで優しい人である。 このまま一生 安定した生活を送れるであろう旦那に物足りなさを 感じているのは 彼とのことが「刺激的」すぎるから。 あの夜の彼の温もりも匂いも私の中からは 消えていかない。 「そうね 明日は休みだし 何処か行きましょう」 旦那に微笑みながら 頭の中では 彼のことを考えていた。 ベッドに入ると 旦那が 「そろそろ子供欲しいなぁ」と言いながら求めてきた。 あの夜以来初めてである (断ったら変に思われる?)(ちゃんと受け入れられる?) 平静を装いいつもと 変わらず対応できたが 違ってたのは 私の頭の中は終始 彼とのことを回想していたこと 終わった後に 彼に対して「罪悪感」を 感じたこと。
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