歴史の始まり

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「・・・その根性は認めてやるよ。部下としてなら、お前を生かしてやってもいい」 「断る」 「そうかよ!」 ゴードンの右手から、再度衝撃波が放たれる。 唸りをあげて真っ直ぐに、立ち上がった束にとどめを刺す為、容赦なく襲いかかる。 「俺が死ぬかよ。ま、お前は生かしてやるけどな」 そうつぶやき、右手をかざして能力を発動。 漆黒の球体を出現させ、迫り来る衝撃波を呑み込み、消し去る。 「ハッ、打ち消したところで意味はねぇ!すぐに殺してやるからよ!」 そう言い放つゴードンは、すでに勝利を確信している。 束が漆黒の球体を出現していられる時間はあと数秒。 その吸引領域はゴードンの立つ位置に届かず、彼を襲うことはない。 そして、束の力が解除される瞬間を狙えば、簡単に勝負はつく。 ゴードンは考えをまとめ、右手をかざしたまま力を蓄える。 しかし、 「次はねぇよ。これで終わりだ」 束は球体の大きさを上げ、吸引力を強めた。 それでもゴードンを引き寄せるには足りないが、束が狙っているものは別である。 「あ?」 顔をしかめるゴードンだが、すぐに理解した。 束が吸い寄せたのは、ふき飛ばされた際に落としてしまった拳銃。 それを手元まで引き寄せ、能力を解除してしっかりと掴んだ。 「この・・・!」 とっさにゴードンが能力を発動しようとするが、 「・・・ぐあッ!」 二発の銃弾が一つずつ、左右の太股にめり込んだ。 「だから言ったろ」 銃をしまい、崩れ落ちるゴードンを見据える。 「次はねぇ。お前の負けだ」 「くそがッ!」 うつ伏せに倒れるゴードンに向かって手錠を取り出し、束はゆっくりと歩み寄っていく。
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