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『姉?』
ネトシルとエルガーツの疑問が唱和する。どう見ても、血の繋がりがあるようには見えない。
「もう、違うってば! この人はラシークさん、異国からこの街に来て、街の平和を守ってくれてるすっごく素敵なあたしのお義姉さまなの♥ おまけに見ての通りの美人だし~」
「あら、そういえば名乗っておりませんでしたね。これは失礼。わたしはラシーク・ハーミットと申します。以後お見知りおきを。ファルセットとは、戯れに姉よ妹とは呼んでおりますが……ファル、この方達はあなたのお知り合い? 紹介して下さるかしら」
「あ、ごめんなさいお姉さま。こっちがあたしの幼馴染のネトシルで、こっちがその旅の仲間のエルガーツね」
「こちらこそ、名乗りが遅れた。ネトシルだ」
「エルガーツです」
それぞれ、今更ながら会釈を交わした。
「ファルセットが世話になっている……と言うべきなのか」
「いえ、可愛がっているだけで、特に世話だなんて。ファルはファルでしっかりしていますもの」
「うふ、お姉さまに誉められちゃったぁ♥」
背の低いファルセットの頭を、女性としては背が少し高いラシークが撫でている。
その様を、ラーグノムと戦っていた時には生気を取り戻していたネトシルが複雑な顔で見ていた。
「ところで、お姉さまと呼ばれているが」
怪訝そうに眉をひそめ、ラシークに問う。
「……本当に女か?」
二度目に空気が凍った。
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