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ネリエス達は代わる代わる舞台に立ち、客からリクエストを募っては歌を歌った。
後ろにはニロドナムという六弦の弦楽器をとナップリーツという金属の打楽器、オグノブという木の胴に皮を張った打楽器を携えた楽士達が伴奏をして、店中のネリエス達が合いの手やコーラスを歌う。
賑やかな空間だった。
盛り上がって来た時、店の奥からファルセットが現れて舞台へ上がった。
店の薄暗い光の中でも目鼻立ちが分かるよう、昼に見た時より化粧は濃い。
下ろしていた髪は結い上げて、うなじがさらけ出されている。裾に入ったスリットからちらちらと脚が覗き、二の腕は出ていながら袖はひらひらとした付け袖をつけていた。
ドレスは虹色の光沢を放つ貝の小片が縫い付けられており、煌びやかな装いだ。
ドレスからでも、他のネリエス達とは一段格が高いのが推し量れた。胸元には、昼にもつけていた革のリボンが結ばれていた。
舞台の中央に立つと、周囲の客に投げキッスや来店の礼などを振りまいてから、舞台に近い席の客からリクエストをもらって歌い出した。
昼の甲高いとさえ思える声からは、想像もできないようなうねる低いハミング。
それに合わせ、楽士達が前奏を奏で始める。オグノブが緩やかな拍子を取り、ニロドナムは甘やかな、それでいてどこか切ない調べをそれに乗せる。
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