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ネリエス達と唱和しながら最後の一節を歌い終わり、ニロドナムの最後の一音の余韻が消えた時、盛大な拍手が歌姫を押し包んだ。
一礼をして次のネリエスと交代したファルセットは、舞台を降りてカウンター席に腰掛けていたエルガーツの隣へ座った。
エルガーツがファルセットを改めて拍手で迎える。
「いやーすごかった! いや、なんていうか、ホントすごかった! すごかった!」
「あったり前じゃないの! これでもプロなんだからね♪」
「プロってすごいんだな……」
感動が大きすぎて言葉が飽和し、すごいとしか言えないエルガーツに、それでも嬉しそうにファルセットは胸を張った。
「にしても、オレなんかの所に来て大丈夫?」
「いーのいーの。せっかくネティの友達さんがいるんだから! ママ、『太陽と潮風』お願い、エルきゅんのおごりで♥」
「はいよ」
「え!?」
「えへへーいいでしょ?」
ちゃっかり自分の分の飲み物を注文するファルセットだったが、舌をぺろりと出して上目遣いをする可憐な様子に、エルガーツは逆らえなかった。
エルきゅんって何だろうという疑問は浮かんだ。
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