潮風の街に集え

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「ママ、ただいまぁ!」 「マ……!?」 「おかえり、ファルセット。何さ、お昼にお客さん連れて来たのかい?」  そう言って、薄暗い店の奥から艶めいてハスキーな声がかかる。差した影はシルエットからして肉感的で、またネトシルは立ちくらみを起こしそうになった。 「お、おばさんも……お変りになられて」 「や、やぁだもうネティったら!」 「おば……」と反射的に眉をひそめたママの刺さるような眼光からネトシルを守るように、ファルセットは彼女を背に庇った。 「ごめんねママ、この子、あたしの幼なじみなの。ネティ、この人がニアトノームのあたしのお母さんな訳ないじゃないの! まったく、あたしがママって呼んだから勘違いしちゃったのね」 「あぁなんだ、そういう事かい」  ふっと息を吐いて、『ママ』は眼光をゆるめた。 そう言われた『ママ』は、確実におばさんと言われても差し支え無さそうな、五十がらみの迫力ある美人だった。今は化粧もしていないが。
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