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「ま、まぁ俺じゃなくて、他の仲間だったら今頃、3人揃って毒牙にかけられてただろうな」
きっと俺も誘拐したのが年上のお姉さんだったら…………ごくり。
「まったく運が良かったな、おまえたち」
「誘拐された時点でこの上ないくらい不幸だと思うのですが……」
栞はカードを束ね終わったらしく、次のゲームに備えシャッフルしている。しかもご丁寧にリフルときており、綺麗に交互になっている。ディーラーにでもなれるんじゃないか?
「はいは~い。わたしからもしっつも~ん♪」
「なんだい春美君」
「紐で固く縛ってるとは言っても三人とも手足が自由ってのは危険じゃないの?」
そう。ここに連れてきた時は、目隠しに猿轡、両手両足を縛る完全な拘束だったが、今やパイプイスに腰から縛るだけとなっている。しかも多少頑張れば紐もほどけそうな無防備さだ。
「まぁおまえらは逃げないって信じてるし」
「何を根拠にだ……」
それに、
「最悪の場合これがあるし」
そう言って俺はポケットから拳銃を取り出して机に放る。
「わぁ~すご~い。重いし、本物みたいだね~」
春美はそれを取って、まじまじと眺める。
「「「あっ……」」」
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