プロローグ

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ああ………緊張した。 慣れないしゃべり方だとこうも疲れるものだとは………。 いくら機械を挟むと言っても、口調が変わるわけでもないし。そもそも田舎出身だから、高校時代は「出雲訛りの1/fのゆらぎ」と言われてたくらいだ。 それくらいイントネーションには特徴がある。 それにしても電話口の声はひどく焦ってた。まぁ当然と言ったら当然。俺も同じだったし。 正直、自分の目の前で人が焦ったり泣いたりするのはとてつもなく苦手だ。申し訳なくて堪らなくなってしまう。 小学生くらいの頃、俺を苛めてた子達が、先生に促されて………と言うより無理矢理謝らされた時も、結局は俺の頭が一番低かった。 そんなこんなで、電話を切ったあとには心の中では天使も悪魔も仲良く頭を地に付け、皮膚が擦り取れるほどに土下座をしていた俺である。 たぶん顔が見えたりなんかしたら本気で実行していただろう。 それにしてもどうしよう。言うことは全て言った訳だし、受け渡しの時間までにはあと2日はかかる。 仲間の一人は準備があるとか言って、管理室らしきところに篭ってるし、もう一人も同じく管理室で外を見張っている。 そんな訳で人質三人の監視役を自然と一人で買わされた俺だが、いかんせん手持ちぶさただ。どうせ彼女達はイスに縛られているんだから大して仕事は無い。 残念ながら俺には幼女属性には埴輪さながらピクリともしない。 そう思ってると人質の一人が上目遣いで睨んできた。暴れ回ってたせいか、その頬は上気し赤く染まっている。 おい、静電気分くらい反応しちゃったぞ。 芽生えちゃったらおまえたちが困るんだからな。 それからしばしその空気が続いたが、あいにく新たな性癖が芽生えることは無かったが、同情は芽生えてきた。 ………うん。イスに縛られてるんだから猿轡は手足の紐は解いて上げよう。 ここは俺に任されてるんだし、逃がさない程度なら全く問題は無いはずだ。 そう思って俺は少女達へと歩みよった。
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