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「はぁ……春美、ババ抜きくらいもう少し静かに出来ないのか?」
早々に抜けた泉美が妹に落胆しため息をついた。
「だってぇ……」
春美はわざとらしく人差し指を合わせる。
「これでもう7連敗か」
俺はもう一度揃ったジャックに笑みを浮かべテーブルへと放った。
「何でわたしってこんなに弱いのかな……」
これまたわざとらしく頬を膨らませ愚痴を溢す。
「なんで……って、そりゃあれだけ表情どころか口にまで出してたら誰だって分かるんじゃ………」
栞がカードを束ねながら答える。
「しかし時に誘拐犯よ」
「ん、なんだ? 泉美」
「今更ながらの質問で悪いのだが………」
「あぁ」
「何故、ババ抜きなのだ?」
その問に栞も頷く。
「なぜって……そりゃ、誘拐に港の倉庫となればトランプと言うのが必然じゃないか?」
「いや……火サスや金9ではたまに観るし、そうかも知れぬが、それは普通仲間内でするものであろう? 誘拐犯とその被害者が仲睦まじくするものではないではないか?」
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