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「そんな事を言われても困るのですが」
「確かに光に認められたいという気持ちもあります。ですが私はそれよりも一番に優先する事はあなたに勝つ事。実力であなたをねじ伏せてやりたいのです!!」
……どちらにせよめんどくせええええええええええええ!!!!
こんなの俺がどうしたってつっかかって来るに決まっているじゃないか。
「つまり、霧涼くんに自慢のセキュリティーを打破されてしまって自分のプライドを傷つけられ、それが許せないのでライバル視していると」
「そう、あなたは私にとって最大の好敵手なのです。覚悟しなさい灰原、いや、上総 霧涼!あなたが何者であろうと私はあなたに勝ってみせる!!」
なんと面倒な事になったものだ。
誰か助けてくれないだろうかと周囲の人間にちらりと目をやると、皆揃いも揃って俺に目を合わせようとしていない。
それどころか、満に至ってはニコニコと面白いものでも見るような顔で俺達の行方を見守っている。
いや、見守らなくていいんですけどねえ。
ここは人外しかおらんのか!!
「私の気持ちも改めて確認して、あなたにも宣戦布告が出来た事ですし、私は退散させてもらいます」
「え」
堂々と言い逃げ宣告をし、すっかり満足なさっている副会長はくるりと踵を返し、屋上の出口を目指す。
「あ、そうでした。あなたの彼氏候補、ぜひとも立候補させて頂きますよ」
「はあ!?」
「言ったでしょう?あなたを負かす、と。こういう手もアリでしょう?覚悟しておく事です!」
「いや、ナシです!止めてください!考え直して!!」
俺がそう叫ぶのを余所に、副会長は自信にあふれた高笑いとともにこの場を去っていった。
何?何なのあの人。俺どうしたらいいの?
「嵐が去った……」
ぼそりと会長が呟いた。
それには皆が黙って頷くには充分すぎる感想だった。
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