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「僕と霧涼くんのデートなのにさ、兄さん邪魔だよ」
にっこりと兄を威嚇する弟に対して、兄は凶悪な笑顔を浮かべて鼻で笑う。
「というか、男三人で遊園地なんて来て、何が楽しい」
「僕は楽しいよ?兄さんがいなければね」
満は、そう言って俺の手を取ると、一先生から距離を置こうと早歩きし出した。
どうでもいいが、何故に恋人繋ぎなんだろう。
しかし、保健医の足の長さは異常だった。
満が早歩きしているにも関わらず、大股で歩けば平然と追いついてくる。
なにこの人怖い。
「霧涼くんの私服姿が見られるなんて、嬉しいなぁ」
ニコニコしながら俺の格好を眺める満。
満はとうとう兄を無視し始めた。
しかしカッコいいとか、ダサいとか、そういった感想ならまだしも、嬉しいとはどういう事なのだろうか。
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