真実が捕まえられない

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思っていたより動揺はしなかった。たぶん、なんとなくそうなんだろうとどこかで思っていたのかもしれない。 「細かいことは知らなかったんだけど」と前置きして、満が話を始めた。 満は、零哉からある程度の事情を聞いていたのだという。 「霧涼君は霧玄さんとちゃんと話をするべきだよ。……もちろん、お兄様とも」 ぎゅっと心臓が掴まれた気持ちになった。 零哉とは何度も話をしている。 それなのにいつもはぐらかされ、こうも平行線を辿るのは何故なのか。 正直なところ、焦燥感だけが募っていた。 そんな俺の気持ちを察したのか、満が優しく俺の固く握られた手を包んでくる。 「大丈夫。僕も一緒に行くから」 「満……でも、お前」 「僕のことは気にしないで。僕はこうなっても良いように、準備だけはしてきたつもりだから」 今まで忙しかったのはその為なのだと、何でもないような顔をして滿は話した。 なんだかこいつの人生が俺の為に動いてしまっている気がする。 俺のせいで……と、思うのは悪い癖だと那由多からよく言われていたが、ここまで大事になってしまうとそう思わざるを得ない。 事実、俺の為に零哉が動き、滿たちの家がめちゃくちゃになり、滿は少し憔悴したような顔で俺の前に立っているのだから。 ・
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