第1章 恐怖の始まり

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私は勢いよく教室を飛び出し、ある教室へと足を運ぶ。 「葉月~!」 そう、幼なじみの西園寺 葉月〔サイオンジ ハヅキ〕が居る3-Aの教室だ。 教室に入るなり、私は一目散に葉月に飛び付く。 「し、紫苑!?ちょ、止まれバカ!!」 葉月は両の手を広げて、なんとか私を受け止めようと試みるが、私の勢いが良すぎたせいで、支えきれず、私が押し倒すような形で、私達の体は一直線に硬い床へと吸い込まれていく。 集まる生徒の視線。 僅か数秒のはずなのに、倒れるまでの時間が、まるで魔法でも掛けられたかのように、長く感じる。 それでも事の終わりというのはやってくるものだ。 私は来るべき衝撃に身構える。 ――ドサァッ―― 石の床に叩きつけられた私達の体。 しかし、葉月を押し倒すように倒れたのが、幸をそうしてか、私自身に、痛みは全くない。 でも葉月は…… 「痛ったあ~…急に飛びついてくるなよバカ…」 頭を押さえて痛がる葉月。 罪悪感が沸いてくる。 でも… 「葉月に早く会いたかったんだもん…」 葉月と一緒に居られる時間だけが私に安らぎを与えてくれる。 だから葉月に早く会いたかった。 「――ったく…大丈夫か?」 私が悪いはずなのに、私の身を案じる葉月。なんて優しいんだろうか。 ――ありがとう、葉月。 私は心の中で葉月に感謝する。 「うん…葉月も、大丈夫…?」 「えっ?俺?あぁ、頭少し打った位だから大丈夫だよ。」 ――そんな訳ない… あれだけ強く頭を打ったんだ、無事に済むわけがない… それは分かっている。 でも、せっかく葉月が気を使ってくれているんだ。 今はそのご好意に甘えよう。
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