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「そういえば紫苑、飯まだだよな?」
不意に葉月がそんな事を尋ねてきた。
――そういえば、まだ食べてなかった…
「うん、まだだよ。」
「うし、一緒に食うか!」
返事を聞くなり、満面の笑みでバッグから弁当を取り出す葉月。
その姿はまるで子供だ。
そんな葉月に「うん」と返事を返し、近くに在った椅子を持ってきて、横に並ぶように腰掛ける。
「それじゃあ、頂きます!」
「頂きます。」
私達は全国共通の食事を初める時の挨拶を済ませ、お互いの弁当に箸を伸ばし始めた。
暫く、適当な会話をしながら箸を進めていたが、私は何かを忘れているような気がして、なんだか落ち着かない。
いったい何を忘れているんだろう…
記憶を巻き戻し、欠落したものを探しだす。
暫く巻き戻し、場面は学校に登校してすぐの辺りだろうか。私は脳内で再生ボタンを押した。
確かこの辺りで―――あ、思いだした。明日の。
「そういえば、恵が明日、私と葉月と達也と恵の四人で肝試しに行かないかって言って、たよ。」
恵に言われていた事を思いだした私は、それを葉月にも伝える。
「場所は?」
「あの有名な廃校だって。」
葉月は、なるほどと言わんばかりに首を縦に振ると、いきなり頬杖をつき、何かを考え始めた。
しばしの沈黙。
「紫苑は行くのか?」
どうやら私が行くかを考えていたらしい
私はその問いに黙って首を縦に振る。
「紫苑が行くなら、俺も行くよ。」
葉月も行く事にしたらしい。
私が行くから行くとか言われると、なんだか照れくさい。
そうこうしているうちに昼休みも終わりに近づいてきていた
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