第1章 恐怖の始まり

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「そういえば紫苑、飯まだだよな?」 不意に葉月がそんな事を尋ねてきた。 ――そういえば、まだ食べてなかった… 「うん、まだだよ。」 「うし、一緒に食うか!」 返事を聞くなり、満面の笑みでバッグから弁当を取り出す葉月。 その姿はまるで子供だ。 そんな葉月に「うん」と返事を返し、近くに在った椅子を持ってきて、横に並ぶように腰掛ける。 「それじゃあ、頂きます!」 「頂きます。」 私達は全国共通の食事を初める時の挨拶を済ませ、お互いの弁当に箸を伸ばし始めた。 暫く、適当な会話をしながら箸を進めていたが、私は何かを忘れているような気がして、なんだか落ち着かない。 いったい何を忘れているんだろう… 記憶を巻き戻し、欠落したものを探しだす。 暫く巻き戻し、場面は学校に登校してすぐの辺りだろうか。私は脳内で再生ボタンを押した。 確かこの辺りで―――あ、思いだした。明日の。 「そういえば、恵が明日、私と葉月と達也と恵の四人で肝試しに行かないかって言って、たよ。」 恵に言われていた事を思いだした私は、それを葉月にも伝える。 「場所は?」 「あの有名な廃校だって。」 葉月は、なるほどと言わんばかりに首を縦に振ると、いきなり頬杖をつき、何かを考え始めた。 しばしの沈黙。 「紫苑は行くのか?」 どうやら私が行くかを考えていたらしい 私はその問いに黙って首を縦に振る。 「紫苑が行くなら、俺も行くよ。」 葉月も行く事にしたらしい。 私が行くから行くとか言われると、なんだか照れくさい。 そうこうしているうちに昼休みも終わりに近づいてきていた
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