魔払いと悪意の異女

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「被害者や倒壊する建物はこれ以降も増えていく。それなのに、銀が欲しい無料飯を食わしてくれとは、評判が下がるのも納得じゃろ? 小言も苦情も言われたくないのなら、まともに働いてくれ群の字」    上の小言と一緒に出たよ、俺の群青(ぐんじょう)という名前を黄泉音特有の愛称で呼ぶ群の字。2人きりでも滅多に言わないこれが出たってところは、本当に参っているようだ。    でも、俺だって言い返したい事がある。   「俺はアイツを倒すまでは契約期間であり、かつそれまでに使用する銀はそっち負担で保証してくれるんだろう? 報酬は後払いにしてやっているんだから、今更銀の値が惜しいとか言われても困るぞ。契約違反だ。  それにほら、そっちはこっちから押収した隠し財産があるんだし、そっから分けてくれりゃあ無料同然だろ」   「何が無料同然じゃ馬鹿者。あれは元々群の字の物だったがそちらの不注意で市場に流れ、我等が幾ら投資して買い集め直したか! 大量の銀が流れる事による価格下落は深刻な問題なのだぞ、今は社蓄財産として扱っておる故に無料同然ではない」    げ、マジかよ。こっちが必死こいて何百トン単位で錬成したのに、勝手に社蓄にされてパーになったとか洒落にならんぞ。
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