プロローグ

2/7
前へ
/19ページ
次へ
「おー、おー、こいつはまた派手にしてくれやがって」    黄泉音(よみね)からの連絡を受け、夜の街でバイクを走らせて辿り着いた教会の中、そこは凄まじい程に荒れ果てていたので言ってしまった。    壁や天井にはヒビと何かの削り痕が沢山有り、宗教者が座る為に設けられた木椅子は、全てが全て原型を留めていないのである。    そしてこの死屍累々の山々。ひー、ふー、みー……あ~あ、今日の被害は8人か。   「生きてっか~、お前ら~?」と声を掛けてみたが誰も反応しやがらない。けれど血流もなく目立った外傷もないから、多分死んでいるのは過半数かそれ以下、いや全員死んでいないだろう。    我が隊の奴らは全滅。しかし、絶命している奴がいないのは大した進歩であり、こいつは褒めてやりたくなった。   「よぉ! 相変わらず黒々と悪意がしやがるファッション着こなしやがってよ、ちたぁ純白の可愛らしい服とか着ねぇのか?」    俺はその教会の教壇に立つ、1人の少女に話し掛けた。しかしそいつは挨拶も返してくれず、壁に吊された十字架を見ながらブツブツ何か言っている。    まぁこんなのはいつも通りなので別に気にはせず、今日のファッションをチックしてやる。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加