プロローグ

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 元より相性の悪さで負け続けて来た黒女は、手も足も出ないと分かっていたから。   「…………………………帰る」    何に悪意を芽吹かせたのかは知らないが、黒女の手に生成された黒の球体のエネルギーは、教会の天井に当たれば天井を貫いて穴を作り。    槍であった黒マフラーが、長さ分面積が広くなるように折り重なって羽となり、それを用いて飛び去って行った。    そうして見逃す事30回目、今日も死なずになんとかやり過ごせた。   「ふぃーまったく、いつも相手するのもキツいんだからよ」    いつもの事ながらこれも愚痴る。アイツと相手をするなら、それも馬鹿共を守りながらとあっては、余計な神経も使わなければならないので疲れる。    そして今日は、何事も無く追い払えたのは良いが、未だに燃ゆり続けるこの炎をどうしようか悩んだ。空気中に舞う素粒子の炎は、燃え尽きるまで消す事は出来ないし。   「いっそこいつらを焼いてやって、殉職しましたでも良いかな」    日本の殆どは火葬である。浄化の炎で天に召されたら、感謝はすれど化けて出てこねーだろうし。    この教会も、ここまでボロボロになったら改修するより建て直した方が早いだろうし、焼き払ってここを更地にすれば。
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