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陽射しがまぶしい。
校庭に、賑やかな声が響く。
昼休み。
気分が悪い、お腹が痛い。
5年生になったとたん始まった女の子の憂鬱な日。
今のうちにトイレに行こう。
由紀は、ハンカチでくるんだナプキンを、スカートのポケットに入れて立ち上げり、教室の出口へ向かう。
後方の壁に、先週、図画の時間に描いた校内の絵が張り出されていて、ふと立ち止まる。
幼なじみの夏美の絵だ。
校門側のサザンカの垣根と校舎。上手だな~。
転校生の健司くんの絵もある。
活発で、すぐにクラスの人気者になった。ちょっとお調子者。
でも、憧れの健司くん。
校庭の遊具の絵。色が綺麗~。
その時、スカートが後ろに引っ張られたような気がした。
「これ、な~んだ?」
悪魔の声が教室に響いた。
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