国から追放された八錯。

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  あるところに、八錯という妄想好きな女がおりました。   普段は油を売る仕事(ガソリンスタンド)をしていて、いわゆる仕事大好き人間。   そんな八錯の楽しみは妄想に浸ること。   つまらない現実世界からの逃避。   八錯は思いました。   「あぁ、この私の妄想を、誰かと共有したい・・・。」   昔から文章を考えて書くことが好きだった八錯は、自分の妄想を文章化して人々に伝えることを考えつきました。   「これだったら仕事の合間に出来るし、妄想を共有出来るはず!」   こうして、八錯は思いついた妄想をどんどんと発信していきました。     そんなある日。     この日も、八錯は妄想を文章化し発信していました。   少しずつですが楽しみにしてくれる人も増え、感想をもらったりして、書き甲斐を感じていました。   そんな矢先、国家保安部からの通達が届いたのです。   そこには、八錯の文章は人々に悪影響を及ぼすものとして発信を強制的に制限するというものでした。   八錯は大変ショックを受けました。   この文章によって得たものは、それはそれは大きなものでした。   共有することの喜び・共有してくれる友達のような存在・受け入れてくれる人が居る嬉しさ・・・。   それなのに、共有することが出来なくなる・・・。   そんなのはイヤだ・・・!!   八錯は国を出ることを決意しました。   ここで書き続けることは出来ないと判断したのです。   八錯は、前々から話に聞いていた森を目指すことにしました。   その森の名前はフォレスト。   八錯は自分の文章を引き連れて森を目指しました。   歩いて歩いて約一ヶ月。   とうとう森に辿り着きました。   その森では、みんなが自由に妄想を共有したりコミュニケーションを取ったりしていました。   「ここで、また始めてみよう・・・!!」   八錯は、森で新しい生活を始めました。   心機一転、名前も変えようかと思いましたが、八錯はそのままで始めました。   国で出会った人達と再会できますように・・・。   そう願って・・・。     おわり  
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