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「しかし…。」
フッシーはその声に答える。
そして、その声は再び私の方へと語りかける。
「猫よ。つまらんことを言ったな。だが、お前のツレが私たちの手中だと判ったとき、お前はどう動くだろう、なぁ?」
私は、血の気が引いた。
……ツレ。
奴の言うツレとは間違いなくシンヤの事だ。
私は無我夢中で駆け出した。
「待て、ミケッ!」
フッシーの制止を振り切り私は直ぐ様シンヤの匂いを追った…。
まだ町の中にいる。
『なんじゃ…この匂いは…』
ただ、シンヤと一緒にいるであろう人間の匂いに困惑した。
古ぼけた本の匂いに、うっすらと血の匂いがまじっていたから…。
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