#第拾伍話#

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小さく頷く椿に、一樹は彼女の右手をギュッと握り締めた。 「馬鹿たれ。動き出すまで手を握ってやる」 「ん…アリガト」 それから程なくし、観覧車は再び動き出し、一樹と椿は無事に観覧車から降りられた。 「やれやれ…やっと降りれたか」 「地面の有り難みが良く判ったよ。…と言うか、いつまで握ってるの?」 ジッと見る右手を握り締めた一樹は、ハッとした表情で手を離した。 「お、おう。もう大丈夫だもんな?」 「…まさか、もう少し握っていたかった。とか?」 「ウッセェ!ナニを言うか!」 悪戯っぽい横目でニヤリとほくそ笑む椿は、夕焼け空を見上げた。 「‥じゃ、帰ろっか?」 「そうだな…」 .
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