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小さく頷く椿に、一樹は彼女の右手をギュッと握り締めた。
「馬鹿たれ。動き出すまで手を握ってやる」
「ん…アリガト」
それから程なくし、観覧車は再び動き出し、一樹と椿は無事に観覧車から降りられた。
「やれやれ…やっと降りれたか」
「地面の有り難みが良く判ったよ。…と言うか、いつまで握ってるの?」
ジッと見る右手を握り締めた一樹は、ハッとした表情で手を離した。
「お、おう。もう大丈夫だもんな?」
「…まさか、もう少し握っていたかった。とか?」
「ウッセェ!ナニを言うか!」
悪戯っぽい横目でニヤリとほくそ笑む椿は、夕焼け空を見上げた。
「‥じゃ、帰ろっか?」
「そうだな…」
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