春、ハル。

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春らしい柔らかな日差しと暖かな風を感じながら、まだ誰もいない校門を自転車に乗ったままくぐる。 3日前、俺はこの星北高校に、小学6年生の頃からずっと続けてきたバスケットボールを活かして、スポーツ推薦で入学した。 3日経った今日、推薦で入学した生徒は朝練が開始されるらしい。 朝練初日から遅刻なんてのは面倒なことになりそうだから、少し余裕を持って家を出たが、早く着きすぎたようだった。 ちっ―…これなら後30分は寝れたのに。 心の中で悪態をつく。 別に、初めての朝練だからって胸が高鳴るわけでもなんでもない。それは入学式もそうだったし、初めて試合に出るような時もきっとそうだろう。 こんな性格のせいで中学時代は、冷たいだとか感情がないだとか散々言われてきた。 ―…別に、わざとじゃねぇのに。 気づいたら、こういう性格になっていたんだ。仕方がないだろ。 駐輪場はグラウンドのすぐ隣にあり、面倒臭がり屋の俺はカギを付けたままにしてその場を立ち去ろうとした。 不意に、顔を上げると、黙々とグラウンドを走る女の子がいた。 ―…何故か俺は、彼女に釘付けになった。 .
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