春、ハル。

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―――――…… 小学6年生の夏のこと。俺のクラスに転入生がやって来た。 その転入生は中学生かと思うほど身長が高かった。どことなく爽やかな雰囲気を纏っていて、何かスポーツをしているんだろうな、となんとなく想像できた。 そいつは人懐っこい笑顔で、明るくはきはきと話した。 「俺は、村上 涼(ムラカミ リョウ)っていいます。知ってる人もいると思うけど、改めてよろしくお願いします!」 そいつはにこにこしたまま、俺の斜め後ろの席に座った。 休み時間になると5,6人の男子が周りに集まり、その中の1人が言った。 「涼、久しぶりだな!お前、向こうでもバスケ続けてたんだろ?俺らのチームに入ったら、絶対即戦力だぜ!」 ――なるほどね。 『知ってる人もいると思う』って言うのは、以前小学校で一緒だった奴がいたということか。あんなにハキハキとして自信に満ち溢れている様子だから、きっとバスケ上手いんだろうな…と、一人で妙に納得していた時のこと。 「おい、…なあって。」 後ろを振り向くと、涼が俺に向かって話しかけていた。周りにいた奴らはいつのまにか居なくなっていた。どうやら俺に何度も話しかけていたらしい。 .
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