春、ハル。

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「お前、名前何て言うの?」 容赦なくそいつは言う。 だから、転入生なんて嫌なんだよ。 「加藤、遥…。みんなには加藤って呼ばれてる。」 俺は、お前も苗字で呼べよ、という意味を込めてそう言った。 「あぁ、わかった。遥、よろしくな。」 真っ直ぐ瞳を見て、満面の笑みで、そう言った。 …は? 俺は唖然とした。 新種の嫌がらせか? しかし、涼は平然とした顔で続ける。 「ほら、次の時間、理科室で実験だろ?場所わかんねぇから、一緒に行こうぜ。」 俺には涼が何を考えているのかが、全く理解できなかった。 何故わざわざ無愛想な俺についてくるのか。 何故そんなにも笑顔で、俺の名前を呼ぶのか。 .
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