プロローグ『2015』

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ノーマルとメフ。 彼らの心にある溝というのはそう簡単に埋まるものでは無いだろう。 だから、グラハムはその溝を境にしているどちらにもいない。 彼は真ん中の溝にはまっているのだ。 どちらもメフがノーマルを睨み。 ノーマルがメフを睨んでいるから。 彼は溝にはまってその視線を避ける。 弱い彼にはそれが一番だ。 「よしっ!」 今日もいつも通り一人の家。 晩御飯を作れば、後は食べるだけ。 そして風呂に入って勉強をして寝ればいつも通り終わりだ。 彼は自分がノーマルのままで良かったと思う。 いきなり自分の生活が変わるのは彼にとっては恐怖だ。 だからこそ、彼はメフになりたいとは思わない。 いかに強大な力でもだ。 今の自分が安泰ならば、彼はそれだけで良かった。
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