第一話『イレギュラーメフ』

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一人の男は、グラハムから6mほど離れた場所にいる。 しかしその男の身長から見て、数歩でつめられかねない。 「け、警察?」 グラハムが立ち上がって、男と向き合う。 「違うよ…アレは私を取り返しにきたの」 そう言って、グラハムの背後に隠れる名護魅。 驚きながらも、男を見るグラハム。 「警察じゃないって…」 「帰るぞ…753」 「なに言ってんだ」 疑問を口に出すグラハム。 しかし、男は全く気にもせずに彼の背後にいる名護魅を見ている。 「あの人が、私を壊すの…」 その言葉に、グラハムが目を見開いて男を見る。 名護魅を自分の背中に隠した。 「青年、三億でその娘をこちらへ渡せ」 「(三億…だが、ここで渡して事件とかになったら俺が、共犯?)」 無言のグラハムに何かを思ったのか、頷く男。 「ならば力付くで私のエンゲージ相手を奪うまでだ」 その言葉に、グラハムが固まった。 そして、笑いながら一言。 「㌔㍉コンだったのか…どうする名護魅」 そして、名護魅が離れる。 さすがに遠くへと行かないようだった。 「さて、俺が片付けるのか?」 「始末させてもらうぞ」 男が、スーツの懐から何かを取り出す。 それは注射器のようだった。 男は、それを首に突き刺した。 「っ!?」 それを刺されると思っていたグラハムは驚愕で言葉も出なかった。 その瞬間、男の体が、ゴキゴキと音を立てていく。 ソレと共に、男の体は先ほどよりも随分筋肉質になっていった。 服がはちきれる。 「さぁ…753を渡せ!」 「しょうがないか…ロリコンには鉄槌をってね…まぁ、俺はロリも嫌いじゃないけどな!!」 そう言ったグラハム。 自分より二まわりほど大きな男に走り出した。
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