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「そう、ボクは思います」
レポート全てを読み終えた。
静まり返る教室。
全40人の教室で、さらに黒板の前でそれを読み終えた生徒。
そいつはこのクラス35人の『メフ』の睨みを受けながら席につく。
そいつの周りにいた三人の『一般人』共はそいつを嬉しそうに褒め称えていた。
レポートを読んだそいつもそいつで自慢げだ。
「ばっかみてぇ」
教室の端。楽しそうに笑う青年が一人。
名を<松岡 グラハム>
ただの『人間』だ。
「メフねぇ」
少なからず、グラハムとて『人間』として『メフ』に興味が無いわけではない。
彼らは人間よりよほど身体能力だけでも強いのだ。
若い人類の8割が『メフ』の今『人間』は肩身がせまい。
教師が、教室の前に立つ。
その表情は困ったような表情だ。
白い長髪の女教師は、少し何かを考えるような仕草を見せる。
そして話しを始めた。
「今のレポートはあまり評価できないな、現代社会のレポートとして良いのだろうが…ノーマルがメフを差別したような言葉遣いがある」
『ノーマル』とは?
言わば先ほどまで『人間』と言っていた存在。
能力を持っていない人間だ。
最近は社会問題として『メフ』と『ノーマル』の格差社会や差別がある。
教室がざわめく。
ノーマルの4人が焦ったような表情を見せる。
「だったら最初から言うなよ」
他人事のように言って、グラハムは黒板に書かれた内容をノートに写す。
数分もしない内にチャイムが鳴った。
これで今日の授業は終了だ。
女教師が言う。
「松岡グラハム、お前は後で理科実験室な!」
呼び出されたグラハムが顔をしかめる。
溜息を吐いて、両手で大きな○を作った。
満足そうに頷いて出て行く女教師。
グラハムは深く溜息を吐いた。
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