プロローグ『2015』

8/10
前へ
/135ページ
次へ
麗音の手を借りて、なんとか軽自動車の助手席に乗り込む。 運転席に麗音が乗り込む。 後部座席から何かを持ち出す。 「ご苦労さん」 だいぶ回復してきたのか、普通に話す。 「脱げ」 麗音は後部座席から取り出した救急箱を開く。 ソレを見ながら、グラハムは痛々しく笑った。 「男を脱がすとは、とんだ痴女だな」 「殴るぞ」 「すまん」 グラハムは学校の制服であるブレザーとYシャツを脱いだ。 だいぶ汚れているのを確認して溜息をはく。 「ほい、早く頼むよ…寒いから」 グラハムの上半身がさらされる。 大して気にすることなく、麗音はその体を見る。 「傷が意外と酷いな…」 「だろうなぁ、あんな殴る蹴るされりゃ…しかもメフに」 その瞬間、麗音はグラハムの脇腹の青痣を小突く。 声も上げずに悶えるグラハム。 「っ~~~~!?」 「そういう風に差別するんじゃない…」 そう言って、麗音は消毒液を傷につける。 傷に染みるが、麗音に小突かれたばかりだったので軽く我慢できた。 「明日は私服で学校に来るんだな…」 「制服は強制されてないにしろ…目立つじゃねえかよ」 「まぁ、しょうがないな」 そう言いながら、包帯を巻いていく。 グラハムは疲れたような表情をした。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加