113人が本棚に入れています
本棚に追加
朝から凄く天気がよくて、母は中庭でたまっていた洗濯物をせっせと干していた。
その後ろで、大きな岩を椅子にして座り、いつものように絵本を見ていた。
“ピンポーン…”
“ピンポーン”
チャイムが二回なって、小走りで玄関に向かう母を必死で追いかけた。
『こんにちは、初めまして。先週、2軒隣に引っ越して来ました、松本と言います。よろしくお願いします。』
と言って、おじさんと男の子が家にやって来た。
その男の子と私は同じ歳で、しかも偶然にも誕生日まで一緒だったから、両親も驚いてた。
その子の名前は大雅。
大雅のお母さんは、産まれてすぐに病気で亡くなってしまっていて、今までずっと広島県の尾道市という所に住んでたけど、小学校にあがるのと同時に、お父さんの実家のある佐賀に越してきたと言っていた。
私はそんな話をずっと母の後ろに隠れて聞いていた。
私達はもちろん同じ小学校に入学する事になった。
私達の通う田舎で1学年1クラスしかないから必然的に同じクラスになったけど、最初は大雅の広島弁が、佐賀の言葉からするとすごく乱暴に聞こえてちょっと恐かった。
おまけにいたずら好きでいつも先生に怒られてたから、小さな町で大雅はすぐに有名人になった。
最初のコメントを投稿しよう!