113人が本棚に入れています
本棚に追加
私はあれから順調に回復していった。
大雅が目の前にいる事が嬉しくて、でも不思議で…
私が入院している間、大雅は毎日病院に来てくれて、二人でいろんな話をした。
どうして離れ離れになってしまったのかも…
大雅からすべての話を聞いて、やっと長年の心の傷が癒えていくような気がした。
退院する日になって知ったけど、大雅は私が勤めてる病院に勤めるようになったと聞いて、本当にびっくりした。
私達はこの事故が無くても、いずれ逢う運命だったみたいだね…
それなら神様は本当にいじわるだなぁ。
それからの私達は、離れていた時間を一つずつ埋めるように出来る限り一緒にいて愛を育んでいった。
そして再会から半年後…。
私達は共に育った佐賀にやって来た…
町の中はだいぶ変わってたけど、私達が育った場所は今も昔のままだった。
そして毎日一緒に歩いたあの草むらまで手を繋いで走った。
幼かったあの日を思い出してこう言った。
『かのんね、大きくなったら大雅のお嫁さんになってあげる。』
『えっ?のんがどうしてもって言うならいいけど…………アハハハハッ!』
俺達は笑いながら抱き合ってキスをした。
辺りはオレンジに包まれて、俺達の影を長く伸ばしていた。
最初のコメントを投稿しよう!