最終章…“真恋”

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披露宴には200人もの人が駆けつけてくれた。 私は、今日の姿を見てほしくて、おじさんを招待した。 披露宴の会場の前に立っている私を見て、おじさんは何度も“ありがとう、ありがとう”と言って泣いた。 “おじさん、本当に本当にありがとう” お客さんもみんな会場に入り、いよいよ披露宴が始まった。 大きな拍手でみんなが私達を祝福してくれる。 大雅のお継母さんも結婚の顔合わせの時に、泣きながら土下座をして謝ってくれた。 今は本当の親子みたいに私を可愛がってくれてる。 私の両親も披露宴中ずっと笑顔で、嬉しそうだった。 その幸せそうな笑顔をみて私は、やっと一つだけ親孝行が出来たのかなって思った。 そして披露宴も終盤に入り、両親への挨拶の時になった。 私は込み上げる涙をぐっと堪えた。 すると大雅がそっと腰に腕を回して私を支えてくれた。 そして小さな声で“頑張れ”って囁いた。 『お父さん、お母さん。私は昔から甘えん坊でそして泣き虫で、いっつも二人の後ろに隠れてたよね。しかも体もあんまり強くなかったから小さい頃から心配ばかりかけてきたと思う。学生の頃もたくさん泣かせちゃってごめんね… そんな私が、ずっと逢いたかった大雅くんに再会出来た事を一番喜んでくれたのも二人でしたね。 お父さん、お父さんは無口だけど、すごく優しくてかっこよくていつもそばで“ここにいるよ”と言ってくれてるような頼れる人です。そんなお父さんだけど心配な事が一つだけあります。具合が悪くても熱があっても無理して仕事を頑張り過ぎる所です。これからはあまり無理しないで下さいね。 そしてお母さん。お母さんはいつも明るくて私に元気をくれる人です。 学校で何かあっても、家に帰ると明るいお母さんがいてくれたから笑顔になれた。お母さん、私ね、最近また夢が出来たんだ。それはお母さんみたいな母親になる事。家族をいつも笑顔に出来る最高のお母さんになるからね。 お父さんお母さん。 今まで本当にありがとうございました。 いつか必ず恩返しするから、それまで体に気をつけて絶対長生きしてね。 最後にお父さん、お母さん私を産んでくれてありがとう。 二人の子供に生まれて来れて本当によかった。 本当に本当にありがとう。  歌音』 沢山の温かい拍手に包まれながら、私達は両親に花束を渡した。 大雅、私を見つけてくれてありがとう…
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